188 クイーンズランドの水害
先々週の中頃から降り続いていたゴールドコーストの雨、止まるところを知らないほどの勢いで、時々強風も伴って、まるで嵐のようだった。これだけの豪雨ともなれば、近辺で被害が出ているだろうと思っていたが、やはり後日テレビを観ると、いたるところで災害が発生していた。
今、オーストラリアは初冬、晴天が普通なのにこのような天候は珍しい。これが夏期であれば落雷と共にヒョウが降り、大木が根元から押し倒され、家や車がその下敷きとなる、そんな光景ばかりをテレビで観ているのである。
オーストラリアは都会でも自然は一杯だが、そのかわり天災による被害も多く、自然が猛威を振るうと人間の手におえないほどの被害が出る。ほんの数ヶ月前には雨不足により高温(45度前後)と乾燥で、ビクトリア州山間部で大きな山火事が発生した。多数の死傷者が出、家を焼かれた被災者が大勢テレビ出演をしていた。今度は低い地区での大雨による浸水である。
上の写真はゴールドコースト·ブルティン紙からで、至る所水に浸かった家々と道路である。有難い事に私の住む地区では水による被害はなかったが、公園の大木があちこちで根元からひっくり返っていた。近辺に建物がないから良かったものの、直撃を受けたら一たまりもなく押し潰されただろう。
過去ブログ「37 TAFEのプレゼンテーション」でも記述したが、この州には昔の建築法でクイーンズランダーと呼ばれている家屋がある。木造で高床式、暑い夏でも涼しい設計となっている。又、大雨が降り、少々洪水に見舞われても普段生活している二階の床なら大丈夫で、住民はボートを漕いで買い物をしたり、隣近所を移動したりする。平地でも海抜が低いので、水が引くのが非常に遅く、時には数ヶ月にも及ぶこともある。これを見越しての建築方法で、先人の知恵と言うか、自然と同居した生活環境といえる。
急速な土木工事の発達でダムが出来、河川には堤防が出来る。低い土地は盛り土をして宅地とし、家を建てる。しかしそれにつられるようにして、低い土地でも家が建てられるようになった。しかも高床式でなく平屋である。地方自治体は、過去の記録から、何時かは洪水になる危険性があっても、人口の増加で建築許可を出してしまう。それは家を建てさせるとレイツ(住民税)が入り、市の財政が潤うからである。
天災は忘れた頃にやって来る、しかも記録にない想定外の被害をもたらすことが多く、猛威の度合いは誰も知ることが出来ない。どこの国に住んでも普段から災害に対しての心構えだけは必要である。
ゴールドコーストではいたるところに運河が張り巡らされている。高額な物件を目的とし、ウオーターフロントの宅地を造成されてきた。裏庭に自分のボートを係留することが、富裕としてのステイサスシンボルだと思われてきたのだ。しかし考えると、これらの土地は海抜ゼロに近い地帯であって、大潮の時には海水が裏庭の芝生まで迫り、塩害で茶色に変わることもある。
昨今の地球温暖化で北極、南極の氷が溶け始めている。今は緩やかな海面上昇だが、すでにすべての氷の温度が上昇、塊が緩んでいる為、溶け始めると急速な氷解が起きる。そうなればゴールドコーストの住宅地の殆どは水没し、人が住めなくなってしまう。私の家はウオーターフロントではないが、近くの家が水に浸かれば同じく住めなくなる。
下の切り抜きは先週水曜のゴールドコーストブルティン紙からである。ゴールドコーストで土地価格の一番高い場所はビーチフロント(海岸線宅地、一区画約2億円以上)である。裏庭から波打ち際までの距離は数十メートルで、誰もが住みたいと思っている。したがって不動産業界、投資会社のターゲットとされている。
先週始めの高波で裏庭まで波が押し寄せ、砂を持って行かれ、この有り様である。百年も前のゴールドコースト浜辺のほとんどは、このような崖のような状態だったと言われている。近年になり北の方から砂を大量に運び、今のようななだらかな浜辺を作った、いわゆる人工ビーチなのである。それで何年に一度かは大波で砂を持って行かれても不思議ではなく、これが自然の姿なのだ。市当局は補修するのに40ミリオンドルが必要だと言っている。レイツ(市民税)のアップにつながらなければ良いのだが。
ところで数年前からの水不足で下水を飲み水として使う大々的なプラント工事、今は中止となっている。ゴールドコーストの水がめであるヒンズダム、堤防を高くする工事が間に合わず、ところどころオーバーフローを起こしている。しかし市民は今もその費用を負担、徴収され続けている。
先々週の大雨で長い間渇水状態だったブリスベンのダムも満杯となった、これでゴールドコーストから水を買う必要もなくなった。数ヶ月前の選挙で勝利、再選された知事のアン·ブライト、テレビのニュースで水害で困っている被災者がたくさん居ると言うのに、水不足解消、一年間は大丈夫と大喜び、はしゃぎ回っていた。
(ゴールドコースト南部海岸線は大波によって大量の砂を持って行かれ、無残にも崖のような段差が出来てしまった。)
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